購買こそが企業のかなめ
私はもともと中国地区の日本企業で購買をしていました。
その当時から感じていましたが、日本企業の経営者の大多数は、企業にとって重要なのは「営業」であるとのご意見の様に思います。
もちろん営業活動も大事ですが、私はあえて「購買」こそが企業経営のかなめと申し上げたいと思います。
つまり、販売価格が一緒の前提で、製造原価(仕入れ単価)を下げることができれば利益率はすぐに上がります。
工場等で生産に使用する材料、素材は多岐にわたります。
その一つ一つの部材の仕入れ価格と製造原価を下げられれば、企業の利益に素直に直結します。
商社・商店であれば、仕入れ価格が下がれば利益に直結ですね。
この購買先の情報を世界中に張り巡らせ、同等品質であれば安いところからボリューム買いして、製造原価を下げて利益を獲得するのがAPPLE社の利益獲得戦略の基本であると思います。
記憶が正しければ、ティム・クック氏はCEOに就任する前は購買の責任者であったと記憶しています。
つまり、製造原価を下げて、販売価格をびっくり低価格にすれば、少ない営業・広告でもがっちり市場は獲得できます。
仕入れ原価をボリューム買いでとことん下げた、100均ショップがよい例ですね。
だれでも、良いものが安ければ、自ら進んで情報を獲得して、購入したいと思うはずです。
今この戦略を中国のファーウェイやシャオミはしっかり行っております。
やがて、市場の勝者が変わっていくと思います。
垂直開発ではなく、現存する素材を横から移動して工数をかけずに安価に組み立てる。
これが今後の電気自動車生産にも応用されるはずです。
電気自動車は部品点数が少ないので、スマホ同様の考え方で、ボリューム買いで安く部材を集めて、一気に組み立てを行う、このビジネスモデルには太刀打ちできません。
言い換えれば「オブジェクト指向」的な考え方で、製造業は変わるのかと思います。
ある素材をオーバーライドして、消費者が必要とするレベルギリギリの完成品を、工数をかけずに素早く市場に投入する。
そのためにも、必要部材の情報は、常に世界レベルで調査して、安いものをなるべく送料をかけずに持ってくる。
そして、さらに優秀な購買担当者であれば、その調達した安い部材を、近隣の同業他社に対して販売活動を行うでしょう。
この“商社”活動にて、更なる利益が獲得できます。
購買・物流に優秀な人材が必要な所以です。(物流は輸送コストの見積もりを取って比較する仕事ですね)
NHKアーカイブスの第2次大戦の戦争ドキュメント映像をご覧いただいた方であればお分かりかと思いますが、日本の軍隊や企業は「兵站・ロジスティックス」を軽視する傾向があります。
残念ながら、前線部隊の気合だけでなんとかなる訳はありません。